きれいだけれど伝わらない。ポエムのようなコンセプトが増えている理由

2025.09.28Design

きれいだけれど伝わらない。ポエムのようなコンセプトが増えている理由

最近、企業サイトや採用サイト制作の提案でコンセプトを読んでいると、どこか似た印象を受けることがあります。使われる言葉として「心をつなぐ」や「未来を描く」、「人に寄り添う」など、どれも前向きでいい言葉ですがその会社が何をしているのか、どんな人に向けて発信しているのかが見えづらいふわっとしたコンセプトを目にする機会が増えてきたかと思います。そこで今回はポエムのようなコンセプトは辞めた方がいい理由について紹介しようと思います。

なぜポエムのようなコンセプトが生まれてしまうのか

ポエムのようなコンセプトが生まれる背景には企業やが大切にしている価値観を言葉にしようとするからだと思います。ただし抽象的な概念を言葉にしようとするとどうしても曖昧でふんわりとした表現になりがちです。結果として何を伝えたいのかがはっきりしないあやふやなコンセプトができ、Webサイト制作の工程では機能しない形だけのコンセプトができあがるのかと思います。

コンセプトは思考の結果、ポエムは感情の表現

ポエムのようなコンセプトが悪いという話ではありませんがコンセプトを設定する目的には一致しない部分が多いかと思います。そもそもコンセプトとはサイトづくりの方向を決めるための言葉でどんな人にどんな価値をどんな形で届けるのかを明確にするための判断軸として機能します。一方で、ポエムは想いを伝えるための表現で使われることが多くブランドの理想や情緒を共有する役割を担います。想いを表す言葉の比率が多くなると伝わりにくい文章になってしまいます。

そのコンセプトは相手の行動を変えられる言葉か?

コンセプトを決める上で大切なのはその言葉が方向を決める力を持っているかどうかだと思います。複数の意見や方向性がぶつかったときに判断の基準として機能するか、迷いなく行動を導けるかが大切だと思います。そのためには、言葉に具体性を持たせることが欠かせません。具体性とは、単に言葉を詳しくするということではなく、誰が・何を・どうするのかがイメージできる状態のことをいい、具体的に言い換えるだけで目的も方向もはっきりと見えてきます。コンセプトを具体的な言葉にすることにより関わる人の認識をそろえ、行動の基準を生み出すことができるのです。

コンセプトをベースに積み上げていくことで深みがでる

Webサイトづくりではデザインやコピーといった見える要素に意識が向きがちですがそれらを支える根幹にあるのがコンセプトです。コンセプトが明確であれば選ぶ表現やビジュアルに一貫性がでてきます。大切なのはコンセプトをタイトルという位置付けに置くだけでなく、プロジェクトを進める上での基盤として扱うことだと思います。制作を進める中で最初に立てた意図を何度も確かめることでデザインやコピーの一つひとつに理由が生まれ結果としてサイト全体に厚みが出てきます。そうして積み重ねられたサイトは見た目の美しさだけでなく、伝える言葉や体験のすべてに揺るぎのない軸を感じさせるものになるのではないでしょうか?

まとめ

コンセプトを作ることが大切と言われていますが何のために作るのかやどう活かすのかを考えて作る必要があるのだと思います。プロジェクトが始まる段階で試行錯誤を繰り返し、明確な言葉にしておくことで一貫性のあるまとまったデザインが生まれるのだと思います。コンセプトを作るときに言葉の抽象度を意識することでより具体的でわかりやすいコンセプトを作ることができるのではないでしょうか?