デザイナーとプロボノの関係

2020.06.04Other

目次

デザイナーとプロボノの関係

皆さん、プロボノという言葉を知ってますでしょうか?海外ではお馴染みのプロボノについて紹介しようと思います。

プロボノとは

では、プロボノとはなんなのでしょうか?

プロボノとは、ラテン語で「公共善のために」を意味する「pro bono publico」の略で、各分野の専門家が、職業上もっている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般や、それに参加する専門家自身を指します。

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簡単にいうと、自分のスキル・得意分野を活かしたボランティア(社会貢献)というイメージです。

私がプロボノに出会ったきっかけ

では、なぜ私がプロボノを始めたのかというと、純粋な気持ちでデザインをしたかったから。仕事としてデザインをしていると、会社という立場や、自分の担当、費用など、いろんな縛りの中で最善のデザインをするという事が起こります。そんなときに、学生の時みたいに純粋にデザインをしてみたいと思い、ボランティアでもいいので何かないかと探したのがきっかけでした。

プロボノでの経験

初めての案件は、東京都障害者水泳連盟のチラシの作成でした。プロボノは6~7人ほどのチームを組んでスタートします。そこには、いろんな職業の方がいます。マーケッターやコンサルタント、営業、事務さん。今まで、デザイナーの仕事をしていて、ディレクター、営業さん等と同じ系統の人としか仕事をしてこなかった自分にとって、社外の人と仕事をするのは新鮮でした。

また、今まで関わることのなかったNPOという存在。そして、NPOを頼りにしている人々、新しい環境に触れることで、今まで知らなかったことを沢山知ることが出来ました。

チラシ1枚で半年間!?

では、プロボノの大まかな流れを紹介しようと思います。

情報共有、ヒアリング

まずは、チームの方との顔合わせを行います。そして、NPOの方にヒアリングを行い、課題の共有をします。そして、ステークホルダーの割りだしと、ヒアリングを始めます。それぞれのスケジュールなどの調整もあり、ここまでで、3ヶ月ほどかかる場合があります。

中間提案

ヒアリングをした内容を基に、何が問題なのか仮説をたて、NPOの方に素案をプレゼンします。制作に入る前に、NPOの方が求めているものと認識のずれがないか、ラフ(ワイヤー)を作成し、ここで確認をしておきます。

制作物作成

中間提案で決まったことを基に、デザインをしていきます。文章を考える人、デザインをする人、各パートに分かれ作業を行います。不明点があれば共有し、みんなが意見を出し合い議論をします。
出来上がった、制作物をNPOの方に確認いただき、ブラッシュアップを続けます。

プレゼン、最終納品

そして、最後に出来上がったものをプレゼンします。制作の意図は勿論なのですが、どういう所に配るか等、利用シーンの提案や、制作途中で見えてきた納品物以外の課題解決できるもの等があれば、提案します。東京都障害者水泳連盟のチラシでは、最初講習会のチラシ作成がミッションでしたが、それに加えて、連盟自体の紹介するチラシと、情報を発信するための、facebookの提案も行いました。

チラシ1枚のプロジェクトに半年間ほど費やしたのですが、私たちが作っていたのはチラシではなく問題を解決するための方法、こうしたら良くなるのではないかという概念なのだと思います。外部の私たちの想いを受け入れてくれるのも、半年という月日を一緒に考え積み重ねた日々があったからこそ、響く提案が出来たのだと思います。

まとめ

一件、チームを組んで役割があって普段の仕事内容と同じだと思われる方もいるかと思いますが、プロボノでの経験は全く違うものでした。確かに、役割はありますが、重きがあるというだけで、自分の役割以外の部分でも考え、意見を伝えたり個人で考えるのではなく、みんなで答えを求めるので、制作するときも、明確な方向性をもち作業することができるので、成果物にずれが少なくなります。

また、出来上がったものは、作業としてはデザイナーが作成しますが、みんなで作り上げたという達成感も味わうこともできます。チラシが出来上がると予想していたNPO団体の方にも、予想以上に考えてくれたことに対して、涙を流してくれる人もいます。たかが、一枚のチラシですが、しっかりと団体のことを考え、力を注げばしっかりと伝わり人の心を動かすことができるのだと、改めて勉強させていただきました。

長くなりましたが、プロボノとの出会い経験というのは、仕事をするというのとは違った刺激をもらうことができ、デザイナーとしていい経験となったと思います。