最適解を導きやすい世の中で数値だけに頼ることの危うさとは
2025.06.08Other
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現代ではデータやテクノロジーの進化によって意思決定がスピーディかつ合理的になってきたかと思います。データに基づいて最適な答えを見つけ出すことがこれまで以上に簡単になり多くの企業が成果を上げるためにこうした仕組みを取り入れているかと思います。数値が判断の基準になる場面は増えていますが本当にそれだけで正しい決断ができるのでしょうか?今回は最適解が見つけやすくなった今の時代だからこそ数字に頼りすぎることの危うさについて考えてみたいと思います。
AIやデータで最適解が見えやすい時代に
近年は生成AIや機械学習の技術が進化したことでビジネスの現場でも正解や最適な方法をこれまで以上に早くわかりやすく導き出せるようになってきたように思います。Webサイトの制作ではユーザーの行動データをもとにUIやUXを改善したり、ABテストでコンバージョン率(CV)を上げたり、さらにはAIを使って文章やコンテンツを作るようなことも当たり前になりつつあります。こうした流れの中で数値をもとに判断する制作プロセスや成果につながりやすいデザインが広く浸透し数字に基づいて正解を決める考え方が多くの現場で定着してきているように感じます。
AIや数値が示す答えの性質とWeb制作の均質化
AIはたくさんのアクセスデータやユーザーの行動履歴、過去の成果などをもとに成果につながりやすいコンテンツの作り方や言葉の使い方を提案することができます。どんな順番で内容を伝えると反応がよくなるかやどんな表現がユーザーに響きやすいかなどをデータに基づいて導き出すことができます。しかし、AIが導き出す最適な答えは特定のユーザー層の行動パターンや検索意図、市場のトレンドなどをもとにした分かりやすく数値化できる要素をもとにしたケースが多いかと思います。そのためブランドならではの個性や伝えたい世界観、長期的にファンと関係を築くような視点までは十分に反映されていないことがあります。
また、誰もが同じようなAIツールを使って同じようなルールでコンテンツを作り続けていくと表現や構成が似たようなものになりやすくなります。結果として多くのWebサイトや記事がどれも同じように見えてしまいユーザーの印象に残らない個性のないコンテンツになってしまう恐れもあります。
数値で判断できないものに目を向ける
また、数値では測りきれない社員のモチベーションや相性、ブランドに対する消費者の信頼、顧客との長期的な関係性などがビジネスの世界には数多く存在します。AIや数値には見えない意味や背景を同時に考えることで同じ数値であってもまったく異なる判断になることもあるかと思います。意思決定において数字だけではなく、誰のためかやこれからどうなりたいかといった問いが重要になります。AIの普及により簡単にクオリティの高いものが作れるようになったからこそ背景やビジョンなど目に見えない判断軸を明確にもつことが大切になってくるのかと思います。
まとめ
AIやデータが示す論理的な分析結果を活かしながらも人の判断をうまく組み合わせることが大切だと思います。何か一つの数字だけに頼るのではなくチームメンバーの多様な視点や経験、関係性をふまえてさまざまな角度から考えることでより本質的な判断ができるかと思います。いろんな要素が関係するビジネスの上では数値だけを基準にするのではなく多様な視点や感情も含めた納得感のある判断が求められるのではないでしょうか?