AIで大規模な構築をするなら最初に設計へ時間をかけるべき理由

2026.09.13AI

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AIで大規模な構築をするなら最初に設計へ時間をかけるべき理由

AIの進化によってWebサイトやWebアプリケーションの構築方法は大きく変わりつつあります。これまで人が時間をかけて記述していたコードもAIを活用することで短時間で生成できるようになりました。ページの実装やコンポーネントの作成や既存コードの修正などAIが担える領域も広がっています。しかし、サイトの規模が大きくなるとAIに作ってもらったものを後から変更することで逆に時間がかかってしまうことがあります。今回はAIで大規模なWebサイトを構築する場合に、なぜ最初に設計へ時間をかけるべきなのかについて紹介しようと思います。

大規模な構築ほど設計の重要性が高くなる

AIを使った開発では実装そのものは非常に速く進められます。小規模なWebサイトであれば多少の仕様変更や実装方法の変更が発生しても比較的容易に対応できますが、ページ数や機能が増えるほど一つの変更がサイト全体に影響するようになります。ページを作った後で構成を大きく変更することになった、コンポーネントの仕様を何度も修正することになった、制作途中で技術的な制約が分かり作り直すことになったなど、このような手戻りを減らすためにはAIに実装を任せる前にサイト全体の構造や使用する技術、ルールなどを整理しておくことが重要です。Webサイト制作ではページ構成やURL設計、コンポーネントやCMSやデータ構造、SEOやアクセシビリティやパフォーマンスなどさまざまな要素を考える必要があり、これらはそれぞれ独立しているわけではなく一部を変更するとサイト全体に影響し全体を修正する必要が出てくる場合があります。そのため大規模な構築ではとりあえず作ってみるよりも先に全体の構造を設計したうえで実装したほうが結果的に速く進められるケースが多くあります。

AIに作らせる前に何を設計するのか?

AIを効果的に使うためにはまず人間側でプロジェクトの全体像を整理することが重要です。最初に考えたいのはどのようなページが必要なのかや、共通するページや機能は何なのかということです。さらに将来的にどのようなページや機能が追加される可能性があるのかまで考えておくと後から大きく構造を変更する必要がなくなります。また大規模サイトではボタンやカードや見出し、ヘッダーやフッターなどの複数のページで利用するUIをどのように共通化するのかをあらかじめ決めておくなど、こうしたルールを先に考えることで効率的に構築をすることが可能です。

AIが作れることと実際に使えることは違う

また、大規模なWeb制作ではサイトの構造だけでなく実際の制作環境や技術的な制約も設計段階で考えておく必要があります。AIは指定された条件の中でコードを生成できますが、そもそもどのような環境で動かすのかやその環境では何ができて何ができないのかを想像することはできません。また、サーバー環境によって利用できる技術が限られていたり、セキュリティ上の理由から特定のサービスやライブラリを利用できなかったりすることもあります。さらに、既存サイトとの互換性や社内の運用ルールなど技術だけでは判断できない制約が存在するケースもあります。つまりAIがコードを書けることとそのコードを実際のプロジェクトで利用できることは別の問題です。そのためAIに実装を依頼する前に何ができるのか何ができないのか何を変更できるのか何を変更できないのかを明確にしておくことが重要です。

最初に設計することで後工程の手戻りを減らせる

設計が十分でない状態でAIを使っていると最初は非常に速く感じるかもしれませんが制作が進むにつれてこのページは前のページと同じ仕様にしてほしいや、このコンポーネントは共通化してほしいなどの追加の指示が増えていきます。こうしたやり直しが増えていくとAIによって実装が速くなったとしてもプロジェクト全体ではそれほど速くなりません。むしろ最初に決めておけば済んだことを制作途中で何度も説明することになり余計な時間がかかってしまいます。また、事前にサイト全体の構造やデータや技術環境や制約を整理しておけば問題が発生した際にもどこに影響するのかを把握しやすくなります。

設計書そのものがAIへの重要なインプットになる

他にも、Web制作では設計資料そのものがAIへの重要なインプットになります。要件定義や仕様、サイトマップ、デザインシステムやコンポーネント、コーディングルールなどを整理しておけばAIに毎回ゼロから説明する必要がなくなります。開発環境や利用できる技術やセキュリティ上の制約や既存システムとの関係なども整理しておくことでAIが生成するコードをプロジェクトの条件に合わせやすくなります。大規模なプロジェクトでは複数の担当者や複数のAIツールが制作に関わることもあり、その場合にも共通の設計資料があればプロジェクト全体で同じルールを共有しやすくなります。これまでの設計書は人間が仕様を確認するための資料という側面が大きいものでしたがAIを使った開発では設計書はAIにプロジェクトの前提条件を伝えるための資料としても重要になります。

まとめ

AIの普及によってWeb制作ではこれまで人が行っていたさまざまな作業をAIに任せられるようになりました。一方で、クライアントの目的を理解し要件や優先順位を整理するなど環境や制約を踏まえてサイト全体を設計することはこれからも重要です。特に大規模なWebサイトでは目の前のページを作るだけではなくサイト全体の構造や将来的な運用まで考えておく必要があり、AIによって実装が速くなるからこそその前段階にある設計に時間をかけることが結果的に効率的なWeb制作につながります。これからのWeb制作ではこうしたAIに何を作らせるかだけではなくAIが正しく作れる状態をどのように用意するかという設計の重要性がより高まっていくのではないでしょうか?