考えの共有と実行指示は違う。Web制作で伝わるディレクションの方法

2026.06.07Web

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考えの共有と実行指示は違う。Web制作で伝わるディレクションの方法

Web制作の現場では指示通りに制作したはずなのにイメージと違うと言われた、修正を重ねているのになかなか完成に近づかないといった経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。こうした課題はデザインスキルや制作技術の問題ではなくディレクターの伝え方に原因があるケースが少なくありません。特に起こりがちなのが考えの共有と実行指示が混在しているケースです。一見すると丁寧なディレクションに見えても制作担当者からすると結局、何をすればいいのかが分かりづらくなっていることがあります。今回はWeb制作の現場でよく起こる課題をもとに伝わるディレクションの方法について考えてみようと思います。

なぜWeb制作のディレクションは伝わりにくくなるのか?

ディレクションが伝わりにくくなる理由の一つはディレクターと制作メンバーで持っている情報量に大きな差があることです。ディレクターはどちらの案をメインにするのか、どこを修正したいのか、どのような印象に仕上げたいのか、参考サイトのどの部分を取り入れたいのかなどさまざまな要素が整理された状態になっています。しかし、その思考プロセスをそのまま文章にしてしまうと受け手はもう一度整理し直さなければなりません。その結果、制作担当者は指示を受け取りながら頭の中で翻訳作業を行うことになります。実はこの翻訳作業こそが認識のズレを生む大きな原因になっているのです。

考えの共有と実行指示は別物

Web制作のディレクションでは考えの共有と実行指示は似ているようで役割がまったく異なります。例えば、全体として方向性は悪くない、少し調整するとかなり良くなりそう、印象が大きく変わると思うといった内容は考えや評価の共有にあたります。一方で、メインビジュアルを調整する、アイコンを追加する、セクション間の余白を見直すといった内容は実際に手を動かすための実行指示です。もちろんどちらも制作を進める上では必要な情報ですが、この二つが整理されずに一つの文章の中に混在すると制作側はどこまでが感想でどこからが必須の作業なのかを判断しなければなりません。その判断を制作側に委ねてしまうことが認識のズレにつながってしまうのです。

伝わりにくいディレクションによくある4つの特徴

評価と指示が混ざっている

方向性は近いと思います、流れを整えたいです、少し変えるだけで印象が変わると思いますといった文章は一見すると問題がないように見えますが、この中には評価、修正指示、期待値という異なる種類の情報が含まれています。受け手は文章を読みながらこれは感想なのか、それとも対応しなければならない作業なのかを判断する必要が出てきます。こうした判断が増えるほど認識のズレは起こりやすくなります。

抽象的な表現が多い

Web制作ではバランスを整える、重心が上に寄っている、見せ方を変える、サイトに馴染ませるといった表現がよく使われます。もちろん経験豊富なメンバー同士であれば通じることもありますがこれらは非常に解釈の幅が広い言葉でもあります。重心が上に寄っているという一言だけでもメインビジュアルのサイズを変更するのか下部の余白を増やすのか、コンテンツ量を調整するのかなど複数の解決方法が考えられます。抽象的な表現だけでは人によって異なる答えにたどり着いてしまうのです。

優先順位が後半に出てくる

制作現場ではどちらの案も調整すると良くなりそうですと冒頭に書かれているにもかかわらず最後になって○○を主案として進めますと記載されていることも少なくありません。制作担当者からすると最後まで読まないと何を優先すべきなのかが分からない状態になります。優先順位は最後に伝えるものではなく最初に共有するべき情報です。

参考情報が多すぎる

見出し・余白・写真・カード・アイコンの扱いを参考サイトに寄せるといった指示もよく見かけますが、このような指示ではすべてを寄せるのか、どこを最も重視すればいいのかが分かりません。参考情報は多ければ多いほど良いわけではなく優先順位とセットで伝えることが重要です。

制作担当者が迷わず作業できるディレクションとは

制作担当者は指示を受けても何を優先すべきか、どこまで修正すればよいのかと迷いながら作業を進めることが少なくありません。この迷いがあると認識のズレによる修正のやり直しや確認のやり取りが増え工数の増加やスケジュール遅延、品質低下につながる原因になります。こうした迷いをなくすためには案件全体の進め方を最初に共有しどの案を主軸に進めるのか、どの案は部分修正に留めるのかを明確に伝えることが大切です。さらに、修正内容を案件や案ごとに整理し文言の反映や出典管理などの共通タスクを分けてまとめることで制作担当者は自分が対応すべき内容を迷わず理解できスムーズに作業を進められます。

まとめ 良いディレクションとは考えを伝えることではなく動ける状態を作ること

ディレクションで大切なのは情報量の多さではありません。大切なのは受け手が迷わず動ける状態を作ることだと思います。そのためには優先順位を最初に伝えること、考えの共有と実行指示を分けること、そして抽象的な表現を具体的な作業に落とし込むことが重要になります。ディレクターはチーム全員が同じ方向に進むための設計図を描く必要があります。もし修正回数が増えていたり、認識のズレが起こりやすいと感じていたりするのであれば一度伝え方そのものを見直してみてはいかがでしょうか?